M&Aとは合併と買収の意味で、狭い意味では企業の一部または全部を譲渡することです。企業提携を含めた広い意味で使われることもあります。
合併とは2つの企業をひとつに統合する法的な手続きです。2社のうち存続するのは1社のみで、残る1社は消滅会社となります。買収とは会社の経営権や一部の事業を買い取ることです。中小企業のM&Aは9割前後が買収によるものだと言われています。
買収は、事業譲渡と株式買収の2種類にわけられます。事業部門を買い取る事業譲渡は、話し合いにより譲り受ける範囲を細かく決められることがメリットです。株式買収は対象企業の株式を買い取り経営権を掌握する手法です。合併と異なり、買収された企業も存続できるため、事業承継の手段として注目を集めています。
M&Aが急増している背景
中小企業白書によれば、M&A件数は2012年より7年連続で増加しており、2018年には過去最多を記録しました。会社を売却する経営者が増えている背景には、高齢化が急速に進展していることが挙げられます。後継者がいない、いても継がないなどの理由から、会社の譲渡を決断する経営者も増えています。
15歳から64歳までの生産年齢人口の減少による人手不足も、中小企業の深刻な経営課題のひとつです。人材不足を原因とする会社の売却も増えており、この傾向は今後も強まると考えられます。
買収と言えば大企業が行うもので、乗っ取りなどマイナスのイメージをお持ちの方も多いでしょう。しかし、近年では企業規模を問わず、生き残りをかけたM&Aが増えています。技術や販路が評価されれば、赤字の会社でも買い手が見つかることも少なくありません。中小企業で行われているM&Aは、双方の意思にもとづく友好的なものがほとんどで、敵対的なイメージは過去のものとなりつつあります。
事業承継を成功させるためのポイント
中小企業がM&Aで事業承継するためには、いくつかの重要なポイントがあります。
事業承継でもっとも大切なのは、いい買い手を見つけることです。販売や生産、経営で相乗効果を発揮しやすい、企業文化の似ている相手が望ましいでしょう。M&A仲介業者に依頼すれば、いい買い手が見つかりやすくなります。
準備や契約、実行後の統合プロセスまで、M&Aはあらゆる場面で法務や税務、財務などの専門的な知識が必要です。欠かすことのできない仲介業者選びは、慎重に行う必要があります。中小企業の事業承継で豊富な経験を持つ業者に依頼することも重要なポイントになります。